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 『京都府 A.K様の靴』

 今回の靴はShoe Scapeとしては初めての
 レディースシューズです。
 もう長い付き合いになる同志から靴を作って欲しい
 と頼まれました。
 いままでメンズシューズしか受けていなかったので
 どうしようかと、正直迷いました。
 でもうれしいものですよ、市場に靴は山ほどあるのに
 わざわざ私に靴を依頼してくれたのだから。
 その気持ちに全力で応えたいと思いました。
 
 レディースはベースラストも作っていなかったので
 Shoe Scapeのレディースとしてのベースラスト作製、
 というところから始めていきました。
 本当にいちからのスタート。
 時間をかけて制作を進めていきました。a.k-02
 A.K様は建築時代からの付き合いです。
 大学は違うのですがある建築の活動で知り合い、
 なにかと建築について議論し合う仲でした。
 A.K様は大学卒業後、建築事務所で仕事をされているので、
 手がけられている設計プランの話を聞かせてもらえるのは
 会うときの楽しみのひとつです。
 靴作りを仕事にしている今も、建築を見ること、
 話を聞くことも大好きなんです。
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 そんなA.K様からの依頼は仕事の打ち合わせで履く靴。
 かっちりしているがどこか
 かわいらしさが欲しいということでした。
 内羽根のスタイルをベースに
 トップラインに衿をつけて少しかしこまった印象。
 羽を連想させるようなゆるやかな曲線を
 衿の形状に取り入れ、柔らかい印象、
 どこか動物っぽいかわいらしさを演出しました。

 A.K様の足は関節が大変柔らかく、
 変形しやすいという特徴がありました。
 ストレスなく美しいフォルムを出すために
 どのくらい足を絞れるかということが課題でした。
 仮フィッティングを通して
 そのラインを慎重に見極め、木型を制作しました。
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 今回は自転車で鴨川を北へ上っていきながら撮影。
 少し落ち着きはじめた丸太町辺りから鴨川を上っていきます。
 川辺で読書する人、ランニングをする人、
 それぞれが思い思いの時間を過ごしています。
 出町柳付近ではよく学生さんがバーベキュー
 をしたりしていて、また少し賑やかに。
 出町柳からは加茂川と高野川に分かれます。
 私は叡山電鉄(通称:叡電)と並んで流れる高野川
 を上っていきました。
 この辺りまでくると川も風景も落ち着いてきます。
 北山辺りは少し裏に入ると田圃もあり、
 心が癒されます。
 賑やかな町も、のどかな田舎も、
 少し動けばどちらの風景にも出会える。
 京都はコンパクトにできた住みやすいところです。
 四季も豊かで、モノ作りをするのに本当にいい環境です。
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 レディースなので、できるだけ華奢なコバに(ヤハズコバ)
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 今回の撮影では北山で靴を撮りたいと思っていた。
 建築を始めた頃、北山に建築巡りに行ったことがあった。
 高松伸さん、安藤忠雄さん、シーラカンス、
 名建築家が設計した建築が、
 当時、ずらりと北山通りに並んでいた。
 私はスケッチブックを片手に、
 北山へ自転車を走らせたものだった。
 A.K様と会っていたのもたいてい北山付近だったので、
 この靴と共に、あの頃の北山の建築を巡ろうと思った。
 
 凛とした表情で変わらぬ存在感を醸し出す建築。
 もう無くなってしまった建築や、
 空き店舗になってしまった商店建築。
 当時の懐かしい記憶と少しのさみしさと共に、
 誰もいなくなった階段で撮影をする。 
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 初めて北山へ建築巡りに来てから
 もう10年以上の時が流れた。
 このあたりの様子は少しずつ変わっているけど
 自分の原点とも言える場所と再会し、
 あのときの情熱を思い出すことができた。
 あの頃は靴職人になるとは思ってなかったなぁ。
 靴と共にこの場所へ来ることで
 いまの自分を報告できたような
 そんな気がした。
 またいつの日か、この場所へ来ようと思う。
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 『京都府 A.M様の靴』

 お客様は大学の教授をされています。
 私が京都に戻り、A.M様に独立の挨拶をしたときに
 うれしい言葉をいただきました。
 「帰ってきた君が作る最初の靴をオーダーしたい。」
 私にとって生涯忘れられない言葉になるだろう。

 A.M様との出会いについて少し話したいと思う。

 出会ったのは学生時代。
 私がまだ建築を勉強していた頃の話…。
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 A.M様は私が通っていた大学の先生というわけではなかった。
 ゼミの先生からの紹介で関わった活動で出会うことになる。

 『2001年 大覚寺大沢池ソウギョバスターズ』

 ここでソウギョバスターズについてごく簡単に説明しておく。
 当時、大沢池は激しい水漏れに悩まされていた。
 十数年前、池に繁茂する水草を除去するために
 ソウギョ(主に草を食性とする魚)が池に放たれる。
 ソウギョは一年で全ての水草を食べ尽くし、
 池の杭まで食べ始める。
 結果、大沢池の激しい水漏れ、水質の悪化
 という問題を引き起こしてしまう。
 大沢池、大覚寺の景観を修復するためA.M氏が立ち上がり、
 2001年に大覚寺大沢池ソウギョバスターズを結成する。
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 私は幸運にもソウギョバスターズの開始から
 この計画に携わらせていただき、
 A.M様と深く関わっていくようになる。
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 さて、出会いから約10年が経ち、
 A.M様の靴を作ることになった頃…。

 2009年 12月、
 これまでのソウギョバスターズの活動の軌跡を一冊の本にまとめ
 『大覚寺大沢池 景観修復プロジェクト
             ー古代と現代をむすぶ文化遺産』
 が出版されました。
 (活動について詳しく知りたい方はぜひ読んでみて下さい)

 そして2010年、
 なんとこの本が日本観光研究学会 学会賞観光著作賞
 を受賞することになりました。
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 それにしてもなんという縁だろう。
 A.M様が学会賞を授賞したタイミングで
 ちょうど私は先生の靴を作っており、
 それが先生と出会ったソウギョバスターズの活動で、
 なんと授賞式に私の作った靴を履いていただけるという…。
 感謝。人生はおもしろいものだ。

 汗まみれになった木々の調査や
 寒い中、泥にまみれたソウギョ捕獲作戦…
 靴職人を志してからも応援し続けていただいたこと…
 いろんなことを思い出しながら靴を作った。
 ソウギョバスターズも、もちろん靴作りも、
 これからも新しい記憶を刻み続けていく。
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 さて、今回のShoe Scapeは
 嵐山にある『中村屋珈琲店』。
 A.M様に連れていただいたのが最初でした。
 建築学生だった私が、靴職人を目指す相談に
 乗っていただいたのも、たしかこの場所だったと思う。
 マスターと昔話しに花が咲き、
 ここで撮影させていただくことになりました。
 A.M様の靴を撮影するには最適な場所だ。
 アンティークな内装が心地よく、時間を忘れてしまうような…
 いつふらりやって来ても、あの頃と時間が続いてるような…
 そんな空間です。
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 写真(下)は 切り絵作家 鎌田沙織さんによる
 中村屋珈琲店の外観を切り絵にした作品。
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 ちょっと暗いところばかりで撮影していたので
 明るいところでの写真を。
 つま先が空を映す。
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 人との出会いはおもしろい、私はいつもそう思う。
 そしていつも人に感謝する。
 私はただ、靴を作るという仕事をしているにすぎないが
 そこにはその人とのストーリーが存在する。
 人との出会いに感謝。
 そしてこれから始まるストーリーを楽しんでいきたい。

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ブログの移行により
以前の作品については
以前のサイトよりご覧ください。

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PRICE LIST についてはこちらをご覧ください。

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 個展を終え、一息ついていたある日、
 一通のメールが届きました。
 フォルクスワーゲン京都右京の O 様から。
 このたびフォルクスワーゲン京都右京さんで
 新型車の発表会が行われるそうで
 発表会の期間にShoe Scapeの靴を展示させて欲しい
 という依頼でした。
 とりあえずお会いしてお話を聞くことに…。
 フォルクスワーゲン京都右京さんでは
 新型車の発表会に重ねて演奏会を催すなど
 様々なユニークな企画をされています。
 先日のShoe Scapeの個展『靴人の贈る詩』
 の個展風景をブログでみて、
 今回のパサートの新型車の発表会に
 イメージを重ねたいということでした。
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 新型車の発表会まではあまり期間がなかったため、
 前回の個展で使ったパネルや靴、革小物を使って
 展示をすることにしました。
 展示会場の下見を兼ねて、フォルクスワーゲン京都右京さんで
 打ち合わせをしました。
 どのスペースでどのようなイメージで展示するか、
 展示材料と展示空間、展示におけるコンセプトを
 話し合い、企画していきました。
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 3つの層に分かれたスペースを用意しました。
 下層は靴作りの作業工程を説明したイラストパネル、
 中層はShoe Scapeの靴と作品の説明を。
 そして上層に
 Shoe Scape × Volkswagen Kyotoukyo の企画展示。
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 草原に続く一本の田舎道があります。
 その一筋の道を、フォルクスワーゲンの車が走ります。
 Shoe Scapeの靴が走ります。
 Shoe Scapeの革小物とVolkswagenのアイテムで
 田舎道の風景を創ってみました。
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 Shoe Scapeの名刺ケース【Gama】と
 Volkswagenのゴルフボール。
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 Shoe Scapeの靴べらキーホルダー【Nasu】と
 Volkswagenのビートルのミニチュア。
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 Shoe Scapeのぶれすれっと【Tsuru】と
 Volkswagenの作業着を着たくま、そしてキーホルダー。
 ミニチュア靴も並べてみました…。
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 靴と車、一見全く関係のないものに思えるかもしれません。
 でもね、靴と車って僕は意外と似てると思うんです。
 新しい靴を履いたときってこころがうきうきしませんか?
 新しい車を運転するときってときめきませんか?
 新しい靴を履いて、新しい車を運転して、
 これからどんな土地に足を運んで、
 どんな景色をみるんだろう。
 その靴、車と共に、たくさんの思い出をつくるんだろうなって。
 
 だからShoe Scapeの靴のパネルを景色に見立てて、
 Shoe Scape × Volkswagen Kyotoukyoで
 ロードムービーのような風景を創り、
 靴と車の世界を
 ちょっと変わったコラボレーション企画を
 お客様に楽しんでいただこうと思いました。
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 今回のフォルクスワーゲン京都右京さんとの企画展示は
 企画をする中で、とても楽しい時間となりました。
 担当の O 様はとてもクリエイティブな思考をお持ちの方で
 企画案を出すと話が弾み、
 共にイメージを膨らましていくことができました。
 二人が頭の中に絵を描いて、
 お互いが目指すイメージに向かって
 展示空間を創っていけたと思います。
 展示会前日、荷物を搬入して、
 「とにかく私達が楽しんで展示を創ろう。
 そうすればきっとお客さんも楽しんでくれる。」
 という思いを合い言葉に、
 展示空間を創っていきました。
 私達は存分に楽しみましたよ(笑)
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 フォルクスワーゲンの車はディティールにも
 こだわりや遊び心の効いたデザインが…。
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 LEDライトを搭載したヘッドライト。
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 フォルクスワーゲンのマークから放たれるスポットライト。
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 最後にちょっと、うれしかった話を。
 搬入日、
 展示空間も創り終え、さあ帰ろうと思ったとき。
 O 様に誘導されお店を出ると、
 パサートの新型車が止まっていました。
 このパサートの新型車は京都の町を走るのが初めてらしく、
 その新型車の京都デビューで
 私を自宅まで送ってくださるというのです。
 車のことは私は詳しくわからないのですが、
 【パサート セダン ハイライン】というモデルで
 足元にゆとりを感じる助手席、
 ぬくもりと落ち着きを感じさせるウッドパネル、
 統一された色使いに
 やはりいい車は違うものだなぁと感じました。
 なによりも O 様のこの粋なはからいに感動しました。

 O 様、このたびは企画展示の依頼をいただきまして
 ありがとうございました。
 O 様と企画をすることができて
 とても充実した時間になったと思っています。
 機会がありましたら、また共に新たなわくわくする企画を
 創れる日を楽しみにしています。

 Shoe Scapeは靴というアイテムの可能性を模索し、
 これからもなにかおもしろい企画がありましたら
 その可能性に挑戦していこうと思いますので、
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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