- 2013.09.21 Saturday
『京都府 H.N 様の靴』
『京都府 H.N 様の靴』
今回オーダーをいただきましたお客様は珈琲鑑定士。
H.N 様は珈琲豆の焙煎技術競技会で
好成績を上げた実績を持っておれる珈琲のスペシャリスト、
「珈琲職人」さんです。
最近誂えたスーツに合わせて、
オーダー靴を創りたいということで
依頼をいただきました。
デザインはできるだけシンプルに、
ベーシックなスタイルにしました。
3アイレットの外羽根のプレーントウに
珈琲豆をモチーフとしたメダリオン、
モカメダリオンを飾りました。
モカメダリオンが飾られたトウ(つま先)を磨くために
珈琲リキュールをつくりました。
珈琲の苦みにはバーボンが合うと思い、
今回は酸味の強いという珈琲豆「イルガチェフェ モカ」に
バーボンの定番「ジャックダニエル」でつくることにました。
珈琲豆を入れたてはまだバーボン色そのものですが
しばらく時間が経つと
もっと濃く、深い色に変わっていきます。
(下の画像はまだ入れたてのときです。)
靴の納品の際に珈琲リキュールで乾杯しました。
珈琲リキュールになっても
「イルガチェフェ モカ」の特徴がしっかり出るものだなぁ
と、さすが珈琲鑑定さんです。
3アイレットの外羽根というシンプルな靴ですが、
そこにはH.N 様の靴としてのこだわりを込めています。
3アイレット(紐を通す穴が3段のもの)の外羽根というと
鋭角的なデザイン(少しシャープな印象を与えるもの)
がよくあるのですが、
H.N 様の靴ではより実直な、誠実な印象を与える線
を引くことに徹しました。
ベーシックなスタイルとはいえ、
そのスタイルから履いている人の印象を
感じられる線を引くこと、
そのひとの為の線を描くことを
心がけています。
自家製の珈琲リキュールでつま先を磨き込みました。
磨いていくと、ほのかな珈琲とバーボンの香りに包まれ、
つま先には色気のある艶がでたと思います。
今回の撮影場所は「岡崎」界隈です。
平安神宮や美術館、コンサートホールや動物園が密接し、
沢山の人が集まる場所です。
この岡崎という地域にはH.N 様との思い出があります。
H.N 様とは大学のときからの
もう長い付き合いになります。
大学を卒業すると
私が靴の技術を習得するため東京に出たので
なかなか会える機会がありませんでした。
そんな東京での生活から京都に帰ってきたとき、
岡崎で偶然再会して、
お茶をしに行ったことがありました。
H.N 様と関わりのある喫茶店に連れて行ってもらい
珈琲をごちそうするよと言ってくれたのですが、
当時の私は珈琲が苦手だったのです。
結局ココアをごちそうになりました。
せっかくの珈琲職人さんからの
おすすめ珈琲なのに飲むことができず
申し訳ない思いがずっとありました。
いまでは以前より珈琲が飲めるようになり
H.N 様から珈琲の基礎を教えてもらったりしています。
今回はそんな岡崎の地で、当時を懐かしく思いながら
Shoe Scape【靴景観】を撮影しました。
誂えたスーツにこの靴を履いて、
これからも焙煎技術競技会で活躍してください。
珈琲リキュールで磨き続けて、僕はこの靴に
より深みを増して、熟成させていきたい。
この靴を履いて、いつの日か
焙煎の世界大会へ羽ばたいていく姿を楽しみにして。
いつもコメントありがとうございます。
ベーシックなプレーントウですけど、
穴飾りが入るだけで雰囲気、オリジナリティが変わりますよね。
これからも制作に励んでいきますのでどうぞよろしくお願いします。